音楽をずっと続けたいと思いながらも、音楽高校ではなく普通科高校へ進学した私でしたが、勉強をバリバリとこなさなければならない日々が続いていました。
私は国語(現代文や古典)、英語や社会はわりと好きな方でしたので、たくさん課題を出されても、あまり苦にはなりませんでした。
ただ、数学だけはなかなか好きになれず、数学の怖い先生の授業では、いきなり名前を呼ばれて答えさせられるため、私はいつもビクビクしていました。
さらに、数学のテストで間違えてしまった箇所は、課題として、問題と答えを100回ずつノートに書かされていました。
私は、かなり間違えが多かったため、その分、たくさん書かなければならず、そこでかなりの時間を費やしました。
そんなこんなで、数学にはますます苦手意識を持ってしまっていたのでした。
さて、音楽大学への進学を考えていた私ですが、受験には、主科(私の場合はヴァイオリン)の他に、ピアノ、ソルフェージュ(楽譜を読むことを中心とした基礎訓練のこと)、楽典、新曲視唱など、様々な科目を受けるために、その勉強も始めなければなりませんでした。
本当は、もっと幼い頃からピアノやソルフェージュの教育を受けるべきだったと思いますが、やってこなかったため、これから頑張るしかありませんでした。
私は家のすぐ近くにある、ピアノ教室に通うことになりました。
そこのピアノの先生は、K先生といい、実はエレクトーンの先生でした。
K先生には、ピアノをバイエルから丁寧に教わり、楽典やソルフェージュも少しずつレッスンしてもらいました。
ちょっと専門的な話になってしまいますが、音楽大学の受験科目に「聴音」というものがあります。先生がピアノで弾いた音楽を聴きとってノートに書き、楽譜にしていくものです。
音楽家を志す子供たちは、およそ3才ごろからピアノやヴァイオリンを習い始めるため、特にソルフェージュ教育を受けなくても(受けたほうがより良いのかもしれませんが)、楽器の練習をしながら、これはドの音、これはソの音、という風に音を覚えていくので(ちょうど言葉をおぼえていくのと同じ感じです)、ほとんどの子供たちは音の高さが分かる能力がある程度、自然と身についています。
そのため、そのような能力を持った子供たちは、楽譜の書き方やリズムの勉強をしさえすれば、聴音は簡単にできるようになるようです。
ところが、私は先生が鳴らした音が、ドレミでいうと何の音なのかが、全く分からなかったのです。
音楽家としてあった方が良い能力が、私には備わっていなかった、というより‟育っていなかった”のでした。
そしてさらに悪いことには、当時の私はそのことにさえ、全く気がついていなかったのです。
第31話「音楽大学を受験するために1」へつづく・・・

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